【北アルプス】憧れの穂先へ!夏の槍ヶ岳登山①日目(上高地より/山小屋泊)
いつかは槍ヶ岳へ。
山に登りはじめると誰もがそう思うのではないでしょうか。
山は好きだけど高所は苦手な私。そんな私が趣味登山歴約9年にして、やっと行く決意が固まり、ベストシーズンの槍ヶ岳(やりがたけ)へ行ってきました!土日で行った短い山行ですが、私にとっては今年の大一番。
終わってみても、行ってよかったと心から思う、素晴らしい景色と感動の山旅の、1日目の記録です。
1.槍ヶ岳とは〜日本のマッターホルン
槍ヶ岳は日本で5番目に高い山で、標高3,180mです。尖った三角形の山容が特徴的で、スイスの山に似ていることから「日本のマッターホルン」などと呼ばれたりします。
日本百名山 にも選ばれており、毎年大勢の登山客が訪れます。
他の山に登っていても、特徴的な山容なので見つけやすいです。
2、日程・槍ヶ岳登山ルート〜上高地より
■日程:2019年8月3日(土)〜4日(日)
台風の来ない8月の土日。正に夏山ベストシーズンです。
■ルート:上高地からのピストン
槍ヶ岳への登山ルートは色々ありますが、一泊2日で行くなら
①上高地からピストン
②新穂高からピストン
③上記を組み合わせた2つの登山口の一筆書きコース
のどれかとなります。
②の新穂高からはやや歩きづらい道があるということで、①の上高地からの歩きやすいルートとしました。下山後は上高地の五千尺ホテルでケーキセットを食べるつもりでピストンに決定です。
<出典:槍ヶ岳山荘ホームページ https://www.yarigatake.co.jp/climbing-info/route/ >
3、槍ヶ岳登山、私のコースタイム
▼今回の私のコースタイム(1日目)
(5:50)上高地BT発~(6:33)明神~(7:25)徳沢~(8:24~8:40)横尾~(10:10~10:35)槍沢ロッヂ~(11:05)槍沢キャンプ地~(11:37)大曲分岐~(12:55)天狗原分岐~(15:00)殺生ヒュッテ~(15:50)槍ヶ岳山荘ゴール
4、槍ヶ岳の山レポ
■上高地へのアクセス
今回、会社の同僚と3人で行ってきました。今回が槍ヶ岳5回目のコーチ役の子(コーチ)と、山は特に趣味ではないけど来てくれた子(Y)と、私です。
コーチは前日に松本のカプセルホテルで前泊し、土曜日朝に松本〜上高地へバスで来ることに。
私とYは金曜の夜行バスで上高地へ向かいました。
コーチは歩くのが早いので、夜行バス組の我々二人は先に歩き出し、登山道途中で後から上高地に着くコーチに追いついてもらう算段です。
■登り:上高地から槍ヶ岳山荘へ
5:20 上高地バスターミナル着。
前日飲み会のままシャワーも浴びずに夜行バスに乗ったYは一睡もできなかったそうです。私とてやや睡眠不足ですが、行くしかありません。4列シートでしたが、前よりバスゆったりしてました。たまたまかな?
上高地BTでグタグタしないように、登山届は予めWEBで提出しておきました。(上高地着いてからでも用紙あります)
5:50 おにぎりを頬張り、顔を洗ってスタート!
バスターミナルから5分程で河童橋通過。まだ朝靄の中です。
上高地からはまず平坦な道を、明神、徳沢、横尾の3つの山荘を通過していきます。それぞれ約1時間かかるので、合計3時間。
下山時は長すぎてうんざりするこの平地3時間歩きですが、行きはいい準備運動。夜行バス明けでぼんやりした体を山に慣らしていきます。
ハクサンシャジンかな?朝露に濡れてきれいです。
もはやいるのが当たり前になった上高地の猿、親子でいました。
約1時間で明神通過
明神岳が綺麗に見えるように朝靄が取れてきました。
樹林帯から川沿いになりパッと景色が開けるポイントがありますが、天気良さそう!
更に約1時間で徳沢通過。
テントを張ってる人が沢山います。本当にここのテン場は気持ち良さそう!いつか来たいな〜
徳沢の山小屋はカフェメニューもおしゃれ。朝から人でにぎわっていました。
更にまた一時間歩き、横尾に到着。
ここへ来るときはいつも橋を渡って涸沢方面へ行っていましたが、初めて槍ヶ岳方面へ歩きます。ここから一気に厳しい山道になるのかと思い、水場で水を補充しトイレを済ませて出発です。
8:40 横尾より出発!
あれ?歩きやすい。山道とはいえ、アップダウンはほぼありません。というか全然登りにならず、このまま歩いて3,000mの槍ヶ岳にいつ着くのかと思ってしまうほど。
登山道には川を越えるところがあったり、花が咲いていたり、飽きずに歩き続けられます。
▲薄紫色が綺麗なクガイソウ
どうやら、上高地を流れている梓川支流の沢沿いの登山道のようです。
こんなに綺麗な川の色見たことありません。釣り好きのYはしきりに釣りしたいと言っていました。
本当に綺麗な川だなぁ。
横尾から1時間30分、槍沢ロッヂに到着しました。
ここまでほぼ平坦な道ですが、太陽が出ている中歩くとやはり暑い。槍沢ロッヂでまた水場があります。
美味しそうなシャーベットが売っていたので食べて休憩です。
水分もとれるしこれは美味しい!200円とお手頃価格だし、槍沢ロッヂ通る人にはおすすめです。
さて、登山が趣味というわけではないYは山用の靴下を持っておらず、普通の靴下3枚重ね履きしていましたが、爪が剥けていたため(山に来る前から)かなり痛がってました。そんな時に槍沢ロッヂの売店で靴下を発見!1,600円と地上で買うのと変わらないし早速ゲット。
槍と書いてあっていいお土産になりますね。靴下変えたら痛みが全然違うと言ってました。靴下って大事なんだな〜。因みにこの靴下、槍ヶ岳山荘でも売ってました。
さて、休憩したらまた歩きはじめます。槍ヶ岳ロッヂ横に望遠鏡がありました。
雲がかかっていて槍は見えませんでしたが、晴れていると遠く~に見えるようです。まだ望遠鏡使う距離なんだな・・・
ここから少し傾斜がでてきましたが、それでも緩やかな登り。
30分程で、槍沢キャンプ地にでました。
お手洗いもキレイそう。
ずっと沢沿いの気持ちの良い道が続いています。見上げると山、振り返っても山。幸せ。
ものすごく大変な道を想像していたけど、上高地からの道はかなり歩きやすいです。まぁ長いのは確かですが…
登山道に可愛らしく咲くクルマユリ。
何回かこのような水が流れる沢を通過します。
変化があって飽きません。徐々に上高地とは違うお花が出てきました。高山植物帯に入ったということでしょうか。
槍ヶ岳への登山道はよく整備されており、所々にこのような看板がたっています。
大曲分岐を過ぎました。東鎌尾根方面には曲がらず、このまま進みます。
コーチはこの辺で追いつくかも、という想定でしたが、まだ来ていません。追いつかれるまでもうちょっと頑張って歩いておこうということに。
小屋泊の私達のザックは28〜30リットルですが、重そうなテン泊装備の人達も結構多かったです。皆汗をダラダラかきながら同じ方向へ向かいます。
それにしても夏山らしさ満点の景色!
夜行バスで一睡もできなかったYが辛そうなので、お昼休憩にしました。長丁場なので、昼休憩も長くは取れません。短い休憩でも休めるように、ランチは火器を使わず簡単に食べられるおにぎりにしました。
12:00 と、ここで私達より一時間半遅れて上高地をスタートしたコーチが合流!早いな〜
やっと三人揃って、改めて出発です。
横を見ると雪渓が。ここは歩かないので問題なしですが、崩落が進んでいました。
小屋泊で荷物も軽いし思ったよりなだらかな道とはいえ、真夏に6時間以上歩いているとさすがに疲れます。こんな長丁場だからこそ、ストックに大いに助けられました。
ゆっくりペースで歩くのが良かったのか、コーチが合流してからは定期的に短い休憩を取ってくれたのが良かったのか、私は意外と元気です。
ところで、槍ヶ岳は尖った穂先や岩稜帯のイメージが強いですが、驚いたのは登山道に高山植物の花々が本当に多いこと。
帰ってから調べると、槍ヶ岳は花の百名山でもあるそうです。岩だらけだと思っていたので、カラフルな登山道を歩けたのは嬉しい誤算でした。(花を撮るためにいちいち屈むので疲れますが)
疲れたら後ろを振り返る。
そして前を見上げる。
どちらも大好きな夏山の景色。
▲コバイケイソウが沢山咲いてました。
▲カイタカラコウかな?
登山道はところどころで沢を越えていきますが、そのうちの一か所が水場になっていました。流れてくる沢の水をそのまま汲みます。
冷たくて美味しい!
段々と標高も上がってきたし、もう少し!
そして。。。
ついに穂先が見えましたー!
もう午後でガスが上がってきており、スッキリと晴れてはいませんが、今までのどの山よりも穂先が近く嬉しいです!
あとはあの穂先に向けて一歩ずつ進むのみ。歩く度に近づく山頂。
こんなガレ地でもお花は咲いてます。
▲ミヤマダイコンソウ
最近やっと葉っぱの形で花を見分けるということに気づきました。
振り返ると表銀座がちらちら見えるようになってきました。向こうも晴れてる!
休憩するのにぴったりな景色なので、ここでまた一息。手を汚さずにカロリーが採れる羊羹が好き。
途中、このような岩屋がありました。
播隆上人が53日間籠もって修行したという坊主岩です。高機能ウェアやシューズがない時代にすごいなぁと思いますが、翌日槍ヶ岳に登頂して、ハシゴなしで槍ヶ岳登頂という昔の人の勇気と体力により一層驚きました。
まだ先は続きます。
15:00 殺生ヒュッテまでやってきました!
午後のいい時間になっているので、テント場にはたくさんの人がいました。夕景&朝焼けの槍ヶ岳を望める特等席なテン場ですね。ただ、岩だらけで設営や寝る時は大変そうな印象でした。背中痛くないのかな?
振り返ってみるとすごい所にあるテン場ですね。一番山頂に近い槍ヶ岳山荘のテン場は本当に岩の上に設営するような場所でスペース少ないので、テントで来るなら殺生ヒュッテがちょうど良さそうです。
どんどん槍の穂先が近づきます!Yはかなり憔悴してましたが、もうちょっと!
殺生ヒュッテからまた上がってきました。山向こうに見えるのは大天井岳や常念岳のようです。
最後は槍ヶ岳山荘で飲んでいる人達の笑い声が聞こえて、「もう声の聞こえるところまで来た!あと少し!」と励ましながら歩きました。
最後の登りでもお花がひらひら。
▲ハクサンチドリ
そして、、、、
15:50 やっと、やっと!槍ヶ岳山荘到着!!
朝の5:50に上高地バスターミナルから歩き続け、休憩含めてとはいえ10時間後にやっと山小屋に辿り着きました!嬉しい~!
意外と調子よかったので「元気だったら今日のうちに槍ヶ岳アタックかな~」なんて言っていましたが、曇ってしまったしビールの誘惑に勝てず、アタックは明朝にして小屋の時間を楽しむことにします。
■槍ヶ岳山荘で宿泊
槍ヶ岳のすぐ横に立つ「槍ヶ岳山荘」が今夜のお宿です。槍ヶ岳周辺にたくさんある山小屋の中でも一番槍ヶ岳に近く、山頂アタックしやすいのでこちらにしました。
▼公式ホームページ▼
こちら、なんとびっくり生ビールがあります!!1200円という高級な一杯ではありますが、ここまで来たら飲むでしょう。
ソフトドリンクや缶ビールなら、自動販売機があるのでそこで買うようになっています。
山荘の前はテラス席のようにテーブルと椅子が置かれていますが、この時間の到着なのでもう埋まっていました。近くの岩に腰かけて山を眺めながら今日一日の苦労を労いあいます。
上高地に後から到着して登山者ごぼう抜きして追いついてくれたコーチ、ありがとう!槍ヶ岳がどんな山か知らずに参加したY、お疲れ!さすがに知ってると思って特に説明してなくてごめんね。(※Yとは何度か一緒に北アルプスを含む山に行っていて体力も山歩きも問題ないとわかっていて一緒に来ています。イベント登山のように山登りをしない友人を安易に誘うのは事故の元なので危険です)
夕方になって外の風が冷たくなってきたので小屋内に避難。談話室で夕食時間まで飲むことにしました。談話室にはボルダリングの壁が。天気が悪い日はみんなこれで遊ぶのでしょうか。
安いし軽いし、ペットボトル入りのワインで乾杯。スーパーで売っているワンコインワインが、山で飲むと何でこんなに美味しいのか。
日が沈むのを見に外へ出てみると、昼間の強烈な太陽光とは違う穏やかな空の色になっていました。明日はあそこまで・・・
ここで少し槍ヶ岳山荘の様子をご紹介。
▼フロント横の売店ではお土産がたくさん!手ぬぐい可愛かったです。
▼私の集めている小屋スタンプもありました!地味に嬉しい。
▼同じく玄関には、携帯の有料充電スペースも。私の携帯は電波入りませんでしたが、充電待ちの人も多かったです。
▼私たちのお部屋はこちら。カーテンを閉めると光が入らずプライバシーがやや保たれます。
ちなみに、この日は大盛況で2枚の布団に5人で寝る感じでした。
さて、お夕食。夕食も4~5回に分けて案内されました。こちらが食堂。
ハンバーグの夕食。
ご馳走様でした!
コーチとYは早々に就寝、私は山雑誌を読みながら消灯までワインタイム。
1日目はこれで終了です。明日を登りを思ってやや緊張しつつ眠りました。
■一日目・登りの感想
旦那さんが以前1泊2日で槍ヶ岳に行ったときは、仲間の女性が辛くて吐いてしまったと聞いていました(その時は新穂高からのコースですが)。その印象が強く、自分でも行けるかと心配もあり、まずかったら途中で宿泊地を変えるなどして無理しないようにしようと思っていました。
行ってみると、確かに長いけど槍沢ロッヂまではほぼ平坦なので、実質登りは槍沢ロッヂを出発した10:35~山荘到着の15:50のみ。他のルートは登っていないのでわかりませんが、少なくとも私は上高地から登ってよかったと思ってます。
▽▼2日目につづく▼▽
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