【山形】花満開の月山縦走登山/8合目〜姥沢(公共交通機関利用)
先日、東北の名峰・月山(がっさん)に初めて行ってきました。行きは夜行バス、帰りはバスと新幹線を乗り継いでの帰宅です。公共交通機関利用の利点を活かし、2つの登山口をつなぐ縦走コースで歩いてきました。
1、月山とは〜今も修験者が集う百名山
月山は山形県の中央部に位置する標高1,984mの火山です。日本百名山の他、花の百名山にも選ばれています。
山頂にある神社は月読命を祀っており、羽黒山、湯殿山と共に出羽三山(でわさんざん)と呼ばれ、信仰の山でもあります。
▼ここにあります<Google mapより>
月山と言えば雪の多さ。月山のスキー場は冬は雪が多すぎて開業できず、GWからやっと営業開始という、日本有数の豪雪地帯にあります。
2、日程、登山ルート(8合目登山口〜姥沢)
日程︰2019年7月27日(土)
月山は絶対に花の時期に行く!と決めていました。ただ、今年はもう早池峰山や秋田駒ヶ岳に行っていたので、同じく東北の花の名峰である月山は来年以降のつもりでした。
ところが山行予定だった週末に台風が来襲、予定していた山梨長野方面は悪天候の予報に。
色々探した結果月山の天気が比較的良さそうだったので夜行バスに乗る金曜当日に行き先を決定しました。
登山ルート︰8合目登山口〜姥沢への縦走ルート
車でなく公共交通機関利用だからこその一筆書きルートです。
8合目登山口より弥陀ヶ原を通って山頂に至り、姥ケ岳を経由してリフトを使って下山します。姥沢としてますが、志津口ルートとも呼ばれます。
3、月山登山の山レポ
■アクセス編〜夜行バス&バス
山形県鶴岡方面への夜行バスを利用して向かいます。ところが、週末の天気を見定めて木曜日に決めた月山アタックだったので、夜行バスが埋まってしまいました💦
しょうがないので私は池袋から、旦那さんは上野から、それぞれ別の夜行バスに乗り、現地集合することにしました。
都内数カ所から鶴岡エスモールバスターミナル行きのバスが出ているのでこれに乗ります。庄内交通の夕陽号です。
ちなみに、池袋の乗り場は池袋西口公園(ウエストゲートパーク)。
近くにお手洗いはないので駅で済ますか、または夕陽号利用者が使える無料休憩室があるのでそちらを利用します。
夕陽号は出発地にかかわらずどれも3列シートのようでした。個々の席にカーテンがついていて、ゆったりできていいですね〜。そして、乗車時に缶のお茶とおしぼりのサービスが!スリッパもありました。VIP待遇!
特にアナウンスされませんでしたが、サービスエリアでの休憩はありませんでした。ドライバーさんの休憩時もバスは開かないので、予め飲み物など買っておくと良いです。もちろん車内トイレ完備です。
夜行バスで眠って…
6:05 エスモールバスターミナル到着。
エスモールとは庄内交通が運営するバスターミナル、ショッピングセンターなどの複合施設。
また、「東京第一ホテル鶴岡」というホテルのロビーともつながっており、夕陽号の車内でホテル大浴場(500円!)や朝食の割引チケットが貰えます。
上野駅発で私より30分早く着いた旦那さんはホテルの温泉で朝風呂してました。ちなみに、エスモール内にはありませんが、10分弱歩くとコンビニがあります。
6:55 エスモールより羽黒山経由、月山8合目行きのバスに乗ります。運賃は2,060円です。
途中、羽黒山で10分トイレ休憩を挟み、エスモールBTから約2時間20分で月山8合目に到着。
到着した駐車場からは既に鳥海山が見えていてテンション上がります。
8合目駐車場にはお手洗いもあるのでしっかり準備をしてから。レストハウスもあり、食事やお土産購入もできます。
これから歩いていく月山が見えています。楽しみだな~。いざ、進みます!
■8合目登山口より山頂
9:30 登山スタート!
駐車場から一歩歩き出すだけで早くもお花に出会えます。さすが花の名峰。
歩きだしてすぐに弥陀ヶ原という湿原が広がっています。標高は1,400mほど。池塘が綺麗~
尾瀬のような木道が伸びていています。
歩きやすい木道で、登山の服装でない普通の旅行客も多くいました。大型バスも入れる広い駐車場なので、団体ツアーもたくさん来るようです。確かにここは誰でも歩ける場所。
こんな看板が。
月山のお花畑
月山には、百数十種類の高山植物があります。とくにここ弥陀ヶ原には美しい花をつける植物が多く、しかも春から秋にかけ、ほとんど花が絶えることがないのが特色です。
これは種類が多いのと、地形が変化に富んでいるためです。普通高山植物は雪の消えた後あっと云う間に花はすぎてしまいます。
それでも中には花だけでなく、実も美しく変わったものがたくさんあります。
一年を通して観察すると一層楽しさが増してきます。
なるほど。
それにしても歩きやすい道。木道の両側に咲くニッコウキスゲが綺麗です。
月山山頂までは約2時間30分の道のりの楽々登山です。とはいっても、真夏・7月に歩くと汗が噴き出して疲れます。
振り返ると鳥海山が見えます。晴れてよかったな~
湿原エリアが終わって登山道を登り始めます。弥陀ヶ原のお花とは違う花が咲いています。黄色のキンコウカが綺麗です。
10:35 雪渓が出てきました。
この時期ならそんなに大きくないのでアイゼン無しでok。
べしゃべしゃにもなっていないので普通に滑らず歩けました。ちなみに今回は登山靴ですらなくトレランシューズで歩いてます。
もう一度振り返ると、今度は鳥海山と雪渓の景色が広がりキレイです。
遅くまで残るこの雪のお陰で、沢山のお花が咲くのでしょう。
私の広角カメラだとわかりづらいですが、お花畑が広がっていました。
チングルマは場所によって、お花ともう綿毛になったものが混じっています。綿毛がふわふわ風に揺れていました。
写真を撮りながらなので歩みは遅く、佛生池小屋が見えたときは「やっと着いた〜!」という気持ち。山頂まではあと半分です。
10:55 佛生池小屋到着!
小屋の周りはピンクや黄色など、カラフルなミニと花畑でした。この小屋でビールケット。
小屋で売ってる手ぬぐいや小物が可愛く、女子のツボをわかってる物が色々売ってました。買いたい気持ちはあるけれど、宿泊した小屋でグッズを買う主義なので我慢。
ビール休憩しているとややガスが出てきてしまいました。まずい、のんびりしている場合ではない・・
この辺りで追い抜いた親子連れの方が印象的で、幼稚園ぽい男の子だけやけに元気に走ってました。登っては走って戻ってきて「お母さん早く」的なことを言ってまた走って登るという素晴らしい体力。子供って元気だなあ。地元の方なのか、家族のレジャーに月山登山があるなんて羨ましいです。
「行者返し」という場所を通ります。急な岩の階段です。修験者の山なので、昔は麓から歩いてきていたのでしょう。
行者返しを越えると、一気に景色が開けます。チングルマがきれいに咲いています。下の方は綿毛だったけど、上に来たら花が残ってるんですね。
稜線がめちゃめちゃキレイ!!
雪渓と青空と緑の稜線がいい感じ。ここを歩いていきます。
月山はすごく整備されていて、木道もすれ違えるように二本です。
人もそんなに多くなく、広がりのある景色をゆっくり眺められます。混雑していない百名山。連休とかだともっと混むのかな?
「とるのは写真だけ
のこすのは足跡だけ」
足跡も残しちゃ駄目でしょうが、自然はみんなの宝、その通り。
8合目から歩いててすぐ山頂に着くかと思いきや、写真撮り過ぎてなかなか進みません。炎天下が続くので、熱中症には注意した方が良さそうです。
また雪渓きました。
ここを越えると、やっと、やっと、山頂です!雪を踏みしめながら行きます。
12:00 月山山頂到着!
山頂碑がある場所は狭いですが景色は良い。
写真には撮れなかったですが、大量のトンボがいました。大量過ぎて軽くヒクくらい飛んでます。でもトンボが食べてくれるお陰で、歩き出しからずっと蚊や羽虫には悩まされず快適なので感謝。
この山頂で、家族連れ登山で来ていたやや高齢のお父さんが、足がつってしまって休んでいました。普段登山をしない人でも来れる山ですが、無理をしないよう気を付けてください。
修験者の白装束の一団が歩いていました。麓にはいくつも宿坊があって、そこに宿泊してから山に来ているようです。こんなところが、私が今まで歩いた山とは違う雰囲気。私達は夜行バスで来ましたが、登山口までのバスがついている宿泊プランのある宿坊もあるので、宿坊前泊プランも面白そうです。
山頂エリアには月山神社の本宮があります。御参りする方はここへ入っていきました。
頂上小屋もあります。ここでも、白装束の方が足がつったと横になるのを見ました。幸い大事には至らなかったようですが、普段山歩きをしてる身には歩きやすい道ではあるものの、無理せず水分と塩分補給しっかりしてください。
さて、折角なので山頂あたりでランチタイムにしました。月山は登山道ずっと日陰がないので、その辺の岩に腰掛けて食べます。ここにはトンボいませんので少し羽虫が来る。
日帰り登山で荷物が少ないので、嵩張るコンビニパスタでも大丈夫。ただ、生のサーモンは七月ということでぎりぎりでした。お腹強くて良かった。。
■姥山経由で姥沢へ下山
山頂でお昼ご飯を食べ終わったら、そろそろ下山です。来た道は戻らず、ロープーウェーのある姥沢(うばさわ)へ向かって歩きだします。
こちらから登ってきた人達が皆ぜいぜい言ってるなあと思っていたら、やはりなかなかの急登でした。段差の大きな道なので、足元に気を付けながら。急なくだりが続くので意外と膝が辛かったです。
下山時はガスってきたので涼しく歩けました。こっちの道もお花が多い!
湯殿山方面かな?あっちも歩いてみたいなぁ。
そんな登山道にもやっぱりお花。本当に月山は花の名峰です。
姥沢コースにも雪渓がありましたが、なんと湯気が出てました!午後になって気温が上がり過ぎて湯気?ガスとも冷気とも違うモヤが漂ってます。
地図に花のマークがあったので、姥ヶ岳経由の道にしました。木道。
本格的にガスってしまったので下山を急ぎます。
このコース、最後はリフトで降りるのですが、リフト直前でスキー場のような雪の斜面にでました。実際、スノボやってる人が十数名。雪の状態はガリガリですが、7/27にスノボって…さすが月山。
スノボの方の横をゆっくり歩いております。滑らないのでノーアイゼンで問題なし。
雪渓歩きを終えたらもうゴールです。最後までチングルマが見送ってくれました。
登りはじめの人は安全登山を祈願するお地蔵様。私達は安全登山のお礼と、これからの山行の安全を願って手を合わせました。
リフト脇に令和の鐘というのがありました。4月までは平成だったのだろうか?新しく取り付けられたのだろうか?
リフト代は券売機ではなく係員に直接払います。
約15分とやや長めのリフト。
今日の登山を思い返したり足元の花を見たりで飽きません。リフトに乗っている下にもニッコウキスゲが咲いていたり、楽しい。が、リフト乗っているとき途中で雨が降ってきてしまいました。屋根がないので私たちは持参の傘を差しながらリフトに乗りましたが、雨具持っていない方は逃げ場なく濡れてしまったようです。
14:27 到着!下山完了です!
リフト終点に小屋があるので、月山ビールという地ビールを飲みつつバスの時間を待ちました。美味しいピルスナービールでラベルも可愛いです。地ビール(クラフトビール)はあまり好きではないというビール党もいますが、私は積極的に飲む派です。少しずつ違う味わいが美味しいし、旅情があるから〇〇限定とか大好き。
もし逆コースでこの姥沢(志津口)から登る場合、この月山リフトのところの小屋で水も汲めます。
■帰りの交通手段(仙台へバス移動)
姥沢からの帰りの手段ですが、山形へのバスにいい時間がなかったので、仙台へバスで移動し、仙台から新幹線で帰ることにしました。
仙台までの直通バスはありません。姥沢〜西川バスターミナルへ移動、西川バスターミナル〜仙台へのバスに乗り継ぎます。
リフト終点の小屋から姥沢バス停までは徒歩5分程です。
道路の右側にポツンと時刻表看板があり、ここが乗り場です。
▼姥沢〜西川バスターミナル時刻表
私が乗ったのは15:20発のバス。西川BTまでは500円です。
西川バスターミナルまでは予約不要の路線バスですが、西川バスターミナル〜仙台へのバスは予約が必要なので姥沢から電話しました。
▼西川バスターミナル
16:10 西川BT到着。
なーーーんもないバス停。トイレも売店もなし。ベンチがありました。ここで約1時間乗り継ぎ待ち合わせがあり、17:05発のバスで仙台へ。
今回は公共交通機関ならではの、2つの登山口をつなぐ縦走コースにして大満足なのですが、帰りの温泉に入りそびれたのが残念です。温泉に入る場合、月山麓の温泉や、道の駅西川で降りればで日帰り入浴ができます。ただ、そうすると西川バスターミナルまでタクシー移動になるので諦めました。うーん、、これは温泉入ればよかったと少し後悔です。。
4、7月の月山で出会った花、高山植物たち
7月27日という月末に行ったので、もうお花は終わりかも・・と思っていたのですが、いい意味で裏切られました!まだまだたくさんのお花が咲いていて、花に興味がない人でも飽きずに歩けて楽しい山だと思います。
尚、ここからの出会った花の名前は月山ビジターセンターのHPなどで調べたものですが、植物詳しくない私の判別できる範囲で名前を書きました。似て非なるものもあるかもしれないので悪しからず。
▲タチギボウシ
▲キンコウカ
▲キタヨツバシオガマ
▲ハクサンボウフウ
▲イワオトギリ
▲ガクウラジヲヨウラク
▲多分、ウサギギク
▲イワカガミ
▲なんでしょう??
▲ミヤマリンドウ
▲ハクサンシャジン
▲ミヤマウスユキソウ(ヒナウスユキソウ)
▲ハクサンチドリ
▲タカネアオヤギソウ
5、月山登山の感想
東北にはいい山がたくさんありますが、私の初めての東北の山が数年前の鳥海山でした。その景色の雄大さと楽しかった思い出のインパクトが大きく、自分にとって鳥海山と月山が東北の山の代名詞のようなイメージがあります。
いつか絶対に夏の花の時期に月山に来ようと思っていましたが、願っていた通り素晴らしい山行になりました。
2,000mに満たない標高ながら遅くまで残る雪渓と花畑、白装束で信仰登山を楽しむ方々、見渡す限りの緑の尾根。アルプスの岩々した山とはまた違う、穏やかな景色が楽しめます。
休憩含めても5時間かかっていない登山なので、山をはじめたばかりの方にもお勧めしたいです。首都圏からは遠いですが、バスと新幹線で楽しめるので是非行ってみてください!
おわり。
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