今日もポレポレ 女山旅日記

ポレポレとはスワヒリ語で「ゆっくりゆっくり」。山が好きな女子が登山、旅行、美味しい食べものを綴る旅日記ブログ

【北アルプス】絶景の黒部カール(②薬師峠〜黒部五郎岳〜三俣山荘)テント縦走4泊5日

2019年の夏休みは北アルプス4泊5日の縦走登山に行ってきました。長め日程のテント泊装備縦走は初めてです。

その2日目、薬師峠テント場〜黒部五郎〜三俣山荘の記録です。

 

 

日程・今回の縦走ルート


■全日程&ルート概要

縦走ルート:折立in~新穂高out

【8/9】折立登山口〜薬師平テント泊

aotora2019.hatenablog.com

 

【8/10】薬師平〜黒部五郎岳〜三俣山荘テント泊

【8/11】三俣〜鷲羽岳〜ワリモ岳~祖父岳〜雲ノ平〜高天原温泉泊

【8/12】高天原〜岩苔乗越〜三俣蓮華岳双六岳〜双六小屋テント泊

【8/13】双六小屋〜新穂高温泉下山

 

その2日目の記録です。

 

■2日目:折立~薬師平 コースタイム

▼今回の私のコースタイム

薬師峠テント場~太郎平小屋ベンチにて朝食→(5:50)太郎平小屋発~(7:37)北ノ俣岳~(8:13)赤木岳~(10:40-10:45)黒部五郎の肩~(11:00ー

11:15)黒部五郎岳~(11:27)黒部五郎の肩発~(13:05ー13:55)ランチ@黒部五郎小舎~(15:05)三俣蓮華岳巻き道分岐~(16:15)三俣山荘テント場 ゴール

今日はこの旅一番の長丁場。踏ん張りどころです!結局テン場到着は夕方になってしまいました。

 

薬師峠より黒部五郎岳

早朝、周りのテントの音で何となく目が覚めました。朝が明けきっていない薄い光の中で、私達もテント撤収をはじめます。

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昨日通った太郎平小屋に戻ってから黒部五郎岳へ向かうコースなので、今朝は太郎平小屋のベンチで朝ごはんを食べることにしました。

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正直起きたては食欲ないので、テント撤収と20分歩いてから食べるのが丁度いいです。

朝はパン派なので、レーズンパンを持ってきました。お鍋で焼いて温め、インスタントのスープと一緒に食べます。

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体が温まってくると目が覚めてきます。

 

太郎平小屋は、薬師岳方面、雲ノ平方面、高天原温泉方面、黒部五郎方面と、たくさんの山へいく登山者が集まる場所。朝から多くの人がストレッチしたり朝食を食べたり、賑わっていました。

見ず知らずの方々だけど、皆さんの山行が素晴らしいものになるといいな(勿論私がいく黒部五郎方面も)と願いながら。

 

5:50 太郎平小屋出発!

小屋の横を通り、黒部五郎方面へ歩き出します。

早速朝露に濡れたチングルマの綿毛が!

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朝の太陽光が柔らかいからか、朝露のせいか、キラキラして見えました。

 

木道を歩いていくと太郎山の山頂近くを通りますが、前に行ったことがあるので素通り。

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まずは北ノ俣岳を目指します。

これから歩いていく道や山並みが広がり素晴らしい景色です。

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最初はなだらかですが、荷物が重いためか、少しの登りてでも汗が出てきます。段々日が差してきて更に暑く。

途中見晴らしが良い場所まで登りきったら一息。

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今日もいい天気!

ここからは北ノ俣岳〜赤木岳の穏やかな稜線を歩きます。黒部五郎岳までは歩きやすい道です。

コバイケイソウなど高山植物がちらほら見られました。

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ハクサンイチゲがにょきにょき。たくさん咲いててキレイだけど、よく見るとお花が目玉に見えてちょっと不気味…

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日光サンサンで暑いけど、やっぱり稜線歩きは気持ちいいです。

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ここも少しカールのような地形になっていて、お花が咲いていたり残雪が残っていたりしました。

 

7:37 北ノ俣岳山頂!まずは今日の第一サミットです。

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ぐるっとこの稜線を歩いていくんだなぁ。

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太郎平小屋のあたりは綿毛だったチングルマも、ここではまだお花が残ってました。

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8月に入ってますがまだまだ見頃!

8:25 赤木岳山頂碑。

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全然山頂らしくなく、てっぺん感はゼロ。登山道にただあったので危うくスルーしちゃうところでした。

 

一度下って、黒部五郎岳へは登り返しになります。

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ゴツゴツと大きな岩を降りていくので、腰掛けるのに便利。お腹空いてきたので黒部五郎への稜線を見ながら休憩しました。

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緑のグラデーションが本当にきれいで大好きです。

小高い丘へ来たところで、トウヤクリンドウの白いお花が咲いてました。

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ずっと緑の稜線を歩いてきましたが、いよいよ黒部五郎岳に向け歩きだします。それにしてもどっしりとして大きい。雲ノ平からも見える大きいな山。ずっと登りたいと思っていた山が目の前にあってわくわくします。

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これまでのなだらかな稜線から一転、黒部五郎岳への登りは急登でした。まあこれだけ大きいと、「歩いてたら着いちゃった」ってことにはなりませんね。

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周りを見渡すと、深い山に抱かれるとはこういうことかと思う景色。幸せすぎる。

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10:40 やっと!黒部五郎の肩に着きました。遠かった〜!はしょって書いてますが、出発から4時間50分経過してます。

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皆さんここにザックを置いて、空身で登っています。私達もザックをデポして身軽になったら黒部五郎岳へ登ります。

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緩い登りですが天気が良すぎてとにかく暑い!

そして登ること15分、黒部五郎岳山頂に到着!!

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標高2,840m、日本百名山、花の百名山に数えられる立派な山です。

古来からの名前は中ノ俣岳と言われたそうですが、岩や石ががゴロゴロしている場所=ゴーロという山用語から五郎という文字を当てたんだそう。黒部村のゴーロのある山で黒部五郎岳ということですね。

 

北アルプス裏銀座にはもう一つ野口五郎岳という名前の山もあり、そちらは4年前に訪れました。2つの五郎さんに登りたいという小さな目標が達成できました。

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 綺麗な稜線がずっと続いてます。水晶岳や赤牛岳などまで見えたようです。(私は山座同定できない)開放感抜群の山頂!

 

黒部五郎カールと黒部五郎小舎

山頂でのんびり景色を楽しみ、黒部五郎の肩まで降りたらデポしておいたザックをしょって出発です。黒部五郎の肩から小舎までは、黒部五郎カール経由コースと稜線コースがありますが、稜線コースは上級者向き。カールに行きたかったし迷わず黒部五郎カールへ。

 

黒部五郎の肩から約5分、すぐにカールへの下りに差し掛かりました。

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足元には石がゴロゴロしてるので、ストックを効かせてブレーキかけながら、転ばないようにくだっていきます。

 

カールとは、山頂直下の斜面が氷河の浸食により丸くお椀型にえぐれたようになっている地形・谷のこと。日本語だと圏谷(けんこく)ですが、涸沢カールとか千畳敷カールとか、黒部五郎カールとか、ドイツ語のカールでそのまま使う方が馴染みがあります。

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氷河の浸食でえぐれた地形ということは、えぐれたところに冬~春と雪が残りやすいということ。カールになっているところは往々にして冬は雪崩の巣になるようです。

 

そして、遅くまで残る残雪のおかげで、栄養たっぷりの土壌となるからなのか、土に水分が保たれるからなのか、とにかく夏になるとカールはお花畑になります。○○カールと名前の付いたところは、地図上で花マークが多かったりします。

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この黒部五郎カールでは、まずコバイケイソウの群落が迎えてくれました。なんか、トウロモコシに似てる気がする。

 

この大きなお花はシシウドの仲間?

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登山道にこんな石が。『小舎マデ2時間』。この時点で11:50・・・。

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朝、太郎平小屋を出発してから既に6時間です。道理で疲れるわけです。

ここから黒部五郎小舎まで2時間かあ。しかも今日のゴールは更に先の三俣山荘。道はまだ遠そうです。(あとで気づきましたが、コースタイムだとカールに降り始めるところから小屋までで1時間30分。この岩から2時間はかかりませんでした)

 

地図上では黒部五郎カールの途中に水場マークがありました。先行の方が水を汲んでいたので、どうやら清流から直接取水するよう。

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水場の看板はないですが、きっとここでしょう。こんな綺麗なところの水、美味しいに決まってます。実際とても美味しかったです。お腹は数週間経ってますが問題なし。

 

振り返ると、自分たちがくだってきた道が見えます。今は降りきって、お椀の中の部分を歩いていることになります。絶景。

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カールの中は思ったよりもずっと広かったです。

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草原の中を好き勝手歩いているように見えますがちゃんと道あります。

黒部五郎岳からカールに降りるところが、一番「カール感」があって綺麗な絶壁でした。岩の壁というか。度々振り返ってしまいます。

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カールを降り始めたところから約50分ほどすると、草原エリアからこのような林エリアに突入。

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結局このような山道を縫うように歩いたり草をかき分けたりと、30分ほどして、やっと景色が開けました!

向こうに見える赤い建物が黒部五郎小舎です!

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この時は空腹と「まだつかない・・」と精神的にも疲れてきていたこともあり、小舎が見えたときは本当に嬉しかったです。

 

12:55 黒部五郎小舎 到着!「小舎まで2時間」の岩から、1時間で何とかつけました。

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ここのテント場も広くて明るくて良さそうでした!いつか泊まってみたいな~。

 

水が豊富なのか、水がじゃばじゃば出ていたので足りなくなった分を補充します。りんごとトマトが350円で売っていました。

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こんな素敵な売り場作られたら買いますね。

登山中に生もの食べれるのは貴重だし、栄養補給させてもらいました。

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▲えるしっているか。死神はりんごしか食べない。

 

デスノートごっこもしたところで、お昼ごはんがきました!旦那さんは親子丼、私は昨日に引き続きカレーです。

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カレーは所謂日本のカレーライス。親子丼はすごい出汁の味がして、卵とろとろで美味しかったです。ご馳走さまでした。


山の日の連休ですがそこまで人の多くない快適な環境でした。ここにずっといたい気持ちを抑え、お手洗いを済ませたら三俣山荘へ向けて出発です。

 

黒部五郎小舎から三俣山荘へ

黒部五郎小舎から三俣山荘へは、まず登り返しから始まります。黒部五郎カールのお椀の底にいたので、ここをお椀の淵まで登っていきます。

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急な登り返しで汗が噴き出してきます。

それでも空腹が満たされたから元気!一歩一歩あるいていき、三俣蓮華岳に近づいてきました。大きな山肌です。

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正しくは三俣蓮華岳は今日は迂回するのですが、三俣蓮華岳から谷に延びる斜面は、ここも思わず歓声を上げる程のお花畑でした。

チングルマやミヤマダイコンソウのお花が瑞々しく咲いています。

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随分高いところまで登ってきました。谷筋を横目に見ながらの登山道です。

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もう高いところまで上がってきたので森林限界。ハイマツの間の道を進みます。

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15:05 三俣蓮華岳山頂と三俣山荘への巻き道との分岐にきました。f:id:aotora2019:20190908120004j:plain

三俣蓮華岳の山頂を踏んでから三俣山荘にいくと70分、巻き道だと50分。三俣蓮華岳は4日目に通る予定なので、迷わずに巻きます。

 

こんな感じの斜面をトラバースする道。ここの斜面もお花がすごかったです!

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キンポウゲとかウサギギクとか名前のわからない白いお花とかたくさん!

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虎を持って来てると、人が入れないこんなお花畑でも写真が撮れるのが楽しいです。こんなことしてるから時間過ぎちゃうのですが・・

静かなお花畑を横切り、山荘目指して歩きます。それにしても今日はお花に恵まれた一日でした。この日が一番お花を見れた気がします。

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巻き道を歩き切ると、遂に三俣山荘が見えました!中央に大きく聳える鷲羽岳と、その麓の小屋。今日の宿です。

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三俣山荘のすぐ手前はちょっとした雪渓が残っていました。アイゼン不要ですが少し滑るのでストックがあると心強い。

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この雪渓を渡りきると、三俣山荘の賑やかなテント場に到着です!

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16:10 テント場の端っこに到着!

休憩を含めてとはいえ、10時間の長丁場でした。自分お疲れさま!
 テン場に着くには遅い時間のため、かなりの数のテントがひしめいました。うーーん、テント張る場所あるだろうか・・・

 

三俣山荘でテント泊&山ご飯

最初は端っこになんとかスペースを見つけて張ろうとしていましたが、山荘に受付に行く際、結構いいポジションにたまたま1張分のスペースを見つけ、テント設営!

 

【三俣山荘 テント場情報】

幕営料 一人1,000円

⭕スペース 約70張

⭕トイレ 三俣山荘内トイレ利用。靴脱ぐ必要あり。利用料一回100円。

⭕水場 テント場内と、山荘入口2箇所有。無料。

⭕テン場はハイマツに覆われた場所。上部は木々ないので風くる。鷲羽岳の眺望よし。山荘前からは槍ヶ岳の眺望。

売店 山荘内売店にて。

 

16時過ぎの到着ではスペースがほぼなかったので、もっと早くに到着しないといけないですね。17時ごろ到着されていた方は石の上に乗るようにして設営されていました。

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テント場には水場もあり、小川となって流れています。みんなビールを冷やしたりしていいところです。

 

こちらの山荘にはエビスビールがありました!今日は山小屋もテントも超満員で、スタッフの方が申し訳なさそうに「まだ冷えてないんですが・・」と言ってましたが、小川に置いておいたらいい具合に冷えました。生き返る〜

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テントを設営したらもう夕方。今日は到着が遅かったので暗くならないうちにご飯にします。

 

今夜の山ご飯はパエリア

パエリア作りました。

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家ではほとんど作らないですが、山にくると毎回作ります。おいしい。ビールにあいます。ご馳走さまでした。

 

三俣山荘は小屋の目の前から槍ヶ岳を眺望できるなんとも贅沢な立地にあります。夕方になるとたくさんの人がカメラを持って小屋の前にいました。

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一週間前にはあそこにいたんだなあと思うと不思議です。一週間前も今週も北アルプスで天気に恵まれていることに感謝。夕日を見てからテントに潜り込みました。

つづく。

 

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